- 水野染工場「日比谷オクロジ店」
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Column
知っておきたい「のぼり旗」の歴史や種類、そして発注する際のポイントとは?

飲食店の店頭やイベントなど、普段から目にする機会の多い「のぼり」ですが、いざオリジナルで作ろうと思うと、どうして良いかわからない方も多いはず。
そこで今回は、のぼりとは何なのか、その歴史と共に、のぼりの種類や発注する際のポイントなどをまとめて解説します。
のぼりの歴史
のぼりの歴史は古く、そのルーツを辿ると、魏の国から邪馬台国の卑弥呼に贈られた軍旗だと言われています。
卑弥呼に贈られた軍旗については、中国の歴史書でもある「魏志倭人伝」に記述されており、その際の旗が長い時間をかけて形を変え、現代のような“のぼり”の形状に近い形を取ったのが、応仁の乱に入る少し前。
竿の先に一本の横棒を添えて旗を紐で吊り上げ、長く流す形式のものから、現代ののぼりの形状のように旗の上辺と長辺を竿に結び付けた形へと変化し、広く普及しました。
のぼりの別名・語源
のぼりは、チチと呼ばれる竿や紐を通す部分が犬の乳首のように行儀よく並んでいることから、別名「乳付き旗」や「耳付け旗」とも呼ばれています。
また、のぼりの語源は、チチを伝わって旗竿の上へ上へと押し上げるところから、ノボリ(昇り)と称しているとも言われており、現在では、一般的に「チチ」のついた伝統的な形式のものを「のぼり(幟)」、棒の横にとりつける形式のものを「はた(旗)」と呼ぶことが多いです。
発注する前に知っておきたい「のぼり」の種類
のぼりと言うと、宣伝を目的としたものと思いがちですが、実は、その目的は多岐に渡るため、種類もさまざまです。そこで、のぼりにどのような種類があるのか、まとめていきます。
興行のぼり

役者のぼり・歌舞伎のぼり・相撲のぼりなどの「興行のぼり」は、劇場や相撲大会などの賑やかな場所で使われるのはもちろん、お店の宣伝のぼりとしても人気があります。
のぼりに役者や力士、スポンサーの名前をデザインすることで、宣伝効果だけでなく会場の雰囲気を盛り上げる効果もあるため、興行のぼりは歌舞伎や相撲の巡業などでは欠かせない存在となっています。
ただ、日本相撲協会が主催する巡業で使用する力士名が入った「のぼり」は、専門の染業者が制作するため、相撲協会様の許可がない場合は、残念ながら制作できない決まりとなっています。
大漁旗のぼり

カラフルで勢いのある大漁旗のデザインを模した大漁旗のぼりは、新造船のお祝い、大漁を祝うお祭りやお店の宣伝用など、さまざまな用途で使われています。
広告のぼり

広告のぼりは、大売出しやバーゲンなどの各種宣伝に使われるのぼりです。
皆さんも店頭などでよく見かけると思いますが、宣伝したい内容によって、色もデザインもさまざま。飲食・園芸・小売・不動産・役所など、多種多様な業種で利用されています。
ミニのぼり

お店のテーブルやカウンターの上など、気軽に置けるサイズのミニのぼり。
おすすめの商品やキャンペーンの告知など、ミニのぼりを目に付きやすい場所に置くことで、宣伝効果も倍増します。
神社のぼり

神事の際に神様が降りてくるための目印である「招代(おぎしろ)」の意味を持つ神社のぼり。
神社の装飾として風格を表すだけでなく、奉納の証としてや祈願などの目的で掲揚されることもあります。
水野染工場の神社のぼりは、職人が昔ながらの本染で1枚1枚を丁寧に手染めしています。
一般的に退色しやすい黒色も、生地を薬品で焼いて染める手法を使い、退色しない黒色に染め上げているため、丈夫で長持ちするのが特徴です。
武者のぼり

男子の誕生に際し、成長や出世を願って掲げるのぼりです。
武者の絵などが描かれ、家紋や名前を入れて染め上げます。
節句の御祝いに掲げられることから、「節句のぼり」と呼ばれることもあります。
また武者の絵が描かれることから、「武者絵のぼり」とも呼ばれます。
武士の軍旗「旗指物」が、武者のぼりの起源の由来とされています。
のぼりを発注する際のポイント
のぼりを発注する際に、スムーズに見積りやデザイン制作ができるように、注意しておきたいポイントをまとめます。
見積り時はデザイン・サイズ・枚数を考えておくとスムーズ
のぼりの用途によって必要な加工や、おすすめの生地などが異なるため、のぼりを発注する際は、どの様な用途・場所で利用するかを明確にしておきましょう。
デザインや枚数が決まっていないと正確な見積りが出せない場合があります。正確な見積もりが必要な場合は、デザイン・サイズ・枚数・生地・のぼり旗用ポールの本数…などを事前に決めておくと良いでしょう。
まだイメージしかない場合でも、参考デザインなどがある場合には、画像などを用意しておくとデザイン作成もスムーズです。
用途によって加工を追加
水野染工場で制作するのぼりは、防炎加工の他にも、撥水加工や抗菌加工を付ける事ができます。
のぼりを使用する場所によって、加工を追加した方が長持ちするため、使用場所がわかっている場合は加工の追加を検討すると良いでしょう。
白は色数に入らない
白は生地の地色になるため、色数に入りません。
また、金色や銀色を使う場合は、以下のような対応となります。
- 刺繡加工
- 顔料プリント
- 近似色(例えば、金色は山吹色や黄土色、銀色は灰色)で染色
これらは全て別途見積りが必要ですが、重厚感を出したい場合は刺繍加工、安く上げたい場合は近似色での染色をおすすめします。
発注するなら、どんな「のぼり」がおすすめ?

伝統的な雰囲気を持つのぼりが作りたい
日本の伝統的な雰囲気を持つのぼりを制作したい場合は、やはり本染がおすすめです。
中でも、大小の刷毛に染料を含ませ、引くようにして職人が一点一点染め上げる引染は、少し厚手の綿生地・舞布とあわせることで、伝統と風格を表現するのにぴったりです。
工程 | |
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染色方法 | 引染 |
生地 | 舞布 |
仕立て方 | 四方二度縫いの共生地チチ仕立 |
興行用としてカラフルで発色の良いのぼりが作りたい
歌舞伎や相撲などの興行用として使われる場合は、やはり発色の良さが重視されます。
その場合は、やはり引染ののぼりがおすすめです。
太い糸で織られた綿生地・カツラギは、厚手でありながら柔ら傘があるため、引染と組み合わせると、しなやかな重厚感を出すことができます。
染色方法引染生地カツラギ仕立て方四方二度縫いの共生地チチ仕立
できるだけ安く抑えたい
キャンペーン告知や宣伝用として使うため、何度も内容が変わる場合は、できるだけ予算を抑えたいものです。
そのような場合は、一般的な商業用のぼりとして選ばれている、耐久性のあるテトロントロピカルというポリエステル生地を使った顔料染めののぼりがおすすめです。
工程 | |
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染色方法 | 顔良染め |
生地 | テトロントロピカル |
仕立て方 | チチテープ仕立 |
風が強い場所で使用したい
風が強い場所で使用する場合は、のぼりを破れにくい生地や仕立てにすると良いでしょう。
特に、生地を四方二度縫いにすることで、のぼりの強度を高めるため、以下のような仕立てののぼりがおすすめです。
工程 | |
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染色方法 | 分散昇華両面染め |
生地 | テトロンツイル |
仕立て方 | 四方二度縫いのチチ仕立 |
風でひらひらしすぎない生地ののぼりを作りたい
風で生地がひらひらと舞いすぎると、せっかくの文字が読めなくなってしまうことがあります。
しっかりと文字が読めるように、風でひらひらしすぎない生地ののぼりを作りたい場合は、しっかりとした綿生地である天竺を使ったのぼりがおすすめです。
工程 | |
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染色方法 | 顔良染め |
生地 | 天竺 |
仕立て方 | 共生地チチ仕立 |
水野染工場では、興行のぼりや大漁旗のぼり、イベントでの広告のぼりなど、1枚からでもオーダー可能です。
各種のぼりの発注についての詳細は、こちらの「幟(のぼり)」ページをご参照ください。
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